市川自然博物館だより 第97号

市立市川自然博物館 2005年4月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 身近で感じる 
生き物の季節変化
 

 


 

 教科書に目を向け、その中の教材に関連した内容を特集していきます。
  第1回目の今回は、4年生理科の教科書にある「生きものを調べよう」です。
  この教材に関連して、市川市内で身近に感じられる季節変化について紹介します。

    

季節変化を学ぶ

 「生きものを調べよう」は、四季を通じて動植物を継続的に見ていくことが、おもな内容です。
 ツバメ、おたまじゃくし、カブトムシの幼虫などの観察、あるいはツルレイシやヘチマの栽培などにより、季節による違いや生活史を知ることができます。
 しかし、わたしたちの暮らしを改めて振り返ると、都市化が進み、農業や漁業が縁遠くなった生活のなかで、四季を感じることや生き物の季節変化を目の当たりにすることは、容易なことではありません。
 それは、小学生に限らず、市川市内で暮らす多くの人にとっても同様です。
 住宅やマンションが立ち並ぶ中、四季の風景や生き物の季節変化を見るには、どこに目を向ければいいのでしょう。

 

 

 

 

町なかで

 住宅地では、動物は多くないので、植物に目を向けるといいようです。
 庭・公園に植えられた花木や花壇の花々ももちろんですが、道端の野草、つまり雑草でも季節を知ることができます。
 春、最初に花を咲かせるのは、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、オランダミミナグサ、セイヨウタンポポなどの野草です。道端や駐車場、街路樹の根元、グラウンドの片隅などで見つけることができます。
 やがて桜の花が終わるころになると、背の高いハルジオンが花を咲かせますが、5月にはよく似たヒメジョオンに入れ替わります。シロツメクサが目立つのもこの頃です。
 梅雨に入ると、道端ではイネ科の野草が見られるようになります。
 イヌムギ、ホソムギ、カモジグサといった種類が、よく見られます。
 また、麦の穂を思わせるムギクサの花も目を引きます。
 夏から秋には、オオイヌタデやアレチマツヨイグサ、ヨウシュヤマゴボウ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギなどの大型の野草が幅広く見られます。
 シーズン最後には、セイタカアワダチソウが黄色い花を咲かせます。    
    ムギクサの絵

 

 

 

 

 

真間川・大柏川・国分川などで

 一時期よりは水質が改善され、時としてボラが遡上するようにもなった市内の小河川ですが、相変わらず川としての魅力は乏しいのが現実です。
 季節を伝えてくれるのは、もっぱら野鳥です。
 春、4月頃が、ちょうど野鳥の入れ替わりの時期にあたります。
 それまで目立っていたユリカモメは、顔が黒い夏羽に変わり始め、次第に数が減っていきます。大柏川や国分川、じゅんさい池、こざと公園などをにぎわしていたカモ類(オナガガモ、キンクロハジロ、ハシビロガモ、コガモなど)も北の地へと旅立ちます。
 一方、入れ替わるように姿を見せるのがツバメです。 春から夏にかけて、特に住宅地での子育てを終えた後は、かなりの数が水面を飛び交うようになります。
 市内の小河川では、若干の水質改善の結果、ユスリカの幼虫(赤虫)が大発生していて、一方でそれらを食べる魚の数は増えないので、結果としてユスリカが多数、羽化して蚊柱を作るようになりました。
 ツバメにとってはご馳走です。 本来、餌場としていた田んぼがなくなったかわりに、小河川が重要な餌場となったのです。
 そして、ツバメが飛び交う水辺は、日が暮れるといつのまにかコウモリ(アブラコウモリ)が飛び交うようになります。目的はツバメと同じです。
 一方、季節に関係なくいつも見られるのはハクセキレイです。白と黒のスマートな体つきの野鳥で、羽ばたきながら空中で虫をキャッチしたり、長い尾を振り振り歩く姿がいつも見られます。 

 

 

 

 

江戸川で

 空ほんらいの広がりが実感できる江戸川は、今では市川にとってかけがえのない空間になりました。
 水中にも空にも自然がいっぱいですが、堤防や河川敷に目を向けるだけでも季節の移ろいを実感することができます。
 特に春は、江戸川の堤防が楽しい季節です。堤防保持のための草刈が行われるまでは、シロツメクサやギシギシ、ヘラオオバコなどの野草があちこちで群生します。
 そして、野草にあわせてチョウの姿も目につきます。カタバミを食草とするヤマトシジミ、ギシギシを食草とするベニシジミ、シロツメクサを食草とするモンキチョウのほかモンシロチョウやキタテハもよく見られます。チョウと食草との結びつきが深く実感されます。
 夏になると、堤防や河川敷ではシオカラトンボ、ナツアカネ、ウスバキトンボなどのトンボ類が見られるようになります。
 秋には、大きなトノサマバッタが足元から飛び立つこともあります。江戸川の中でも、特に里見公園下の坂川旧河口や、市川南の緊急船着場南側に設けられたビオトープでは、さまざまな昆虫や野草を見ることができます。

      ヘラオオバコの絵

 

 

 

 

 

江戸川放水路で

 江戸川放水路では、干潟で季節変化を見ることができます。
 大きくは、昼に潮がよく引く春夏と、寒くて潮も夜に引く秋冬に分かれます。
 春夏にはおびただしい数の生き物が干潟を埋め尽くしますが、秋冬になると鳥の姿しかなく、めっきりさびしくなるのです。
 もちろん、水中では秋冬も生き物が活発に暮らしています。ただ、潮の引いた干潟に限定すると生き物のいる季節といない季節がはっきりしています。
 もっとも、春夏に見られたカニやトビハゼは、冬は冬眠しています。冬に砂地の場所を掘ってみると、砂の中からじっと体を硬くしたチゴガニやコメツキガニが掘り出されることがあります。 

 

 

 

 

北部の緑地で 

 市川市の北部には、里見公園や堀之内貝塚公園、柏井市民キャンプ場など、いくつもの緑地が残されています。こういう場所では、緑の変化だけでも季節の移ろいを知ることができますが、さらに細かく樹木の花に目を向けてもおもしろいものです。
 いち早く2月に咲き始めるのがハンノキ、桜の前に花を咲かせるのがコブシやウグイスカグラ。
 その後、桜が咲くころにはイヌシデ、コナラなどが次々に花を咲かせ、青葉が出そろう5月にはシラカシやアカガシといった常緑樹が花時を迎えます。
 6月にはムラサキシキブやクリ、7月にはアカメガシワが花を咲かせ、真夏にはクサギやヌルデの花を見ることができます。その後、秋にはシロダモが、冬にはヤツデが花を咲かせます。
 市内の緑地の多くは、悪く言えば手入れが行き届かず、よく言えば、いわゆる「雑木」にも生きるチャンスがある状態です。
 そのため、年間を通じて木々の花に出会うことができるのです。

 

 

 

 

長田谷津で

 生き物の宝庫・長田谷津では、たとえばカエルに着目しても季節変化を身近に感じることができます。
 長田谷津のカエルの季節は、真冬2月のニホンアカガエルの産卵から始まります。その後、3月のアズマヒキガエルの産卵、4月のシュレーゲルアオガエルの産卵、5月のアズマヒキガエルの子ガエルの上陸、6月のニホンアカガエルの子ガエルの上陸とウシガエルの産卵。産卵と上陸のラッシュが続きます。
 夏は、日中、湿地のあぜ道に小さなニホンアカガエルが見られ、夜、ホタル観賞会の時には小さなアズマヒキガエルと出会うことがあります。
 秋になると、水辺には越冬を前にしたウシガエルの大きなおたまじゃくしが数多く見られます。
 ひと口にカエルといっても、その暮らしぶりは多様です。
 特に、アズマヒキガエルのおたまじゃくしが、すでに生まれていたニホンアカガエルのおたまじゃくしを追い抜いて先に子ガエルになる点などは、乾燥した環境に適応し、いかに速く水中時代を終わらせるかというアズマヒキガエルならではの特徴が出ていて、興味深い点です。

 

 

 

 

 

 

 

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街角自然たんぽう

かわら
河原・二つの水門
上が江戸川水閘門、下が行徳可動堰の写真

 河原には、江戸川に江戸川水閘門、江戸川放水路には行徳可動堰と、二つの水門があります。
 二つの水門の主な役割は、江戸川の水を淡水に保つこと、洪水を防ぐことです。
江戸川水閘門は、引き潮の時に開いて江戸川の水を海に流します。
 行徳可動堰は、大雨や台風などで水かさが増したとき開くので、1年に数回しか開きません。
 江戸川を淡水に保つことで、松戸市にある栗山浄水場で作られた水道水が、皆さんのもとへ運ばれています。 

 上:江戸川水閘門  下:行徳可動堰 

 

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

 生き物の暮らしを知るには、野外で観察する方が、もちろん良いのですが、飼育しているからこそ観察できることもたくさんあります。
 このコーナーでは博物館で飼育している生き物の、飼育下ならではのちょっと変わった行動などを、実際の飼い方と併せてご紹介します。

 

 ナミヘビ科  アオダイショウ(シロヘビ)

シロヘビの写真

 蛇は、池を泳ぐ姿や水辺で日向ぼっこしているのを見ることがあります。
 そこで、飼育ケースの中にも、池のような浅くて口の広い水場を用意してやりました。
 ところが蛇は、観葉植物をさした口の小さなビンにもぐり込んで、首だけ出して水に浸かっています。
 じっと動かず何時間も水中(?)にいること、脱皮の前は特に頻繁に浸かることなどが、飼育してわかりました。
 ただその姿は来館者から、「液付け標本?」と言われていますが…。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 水 ……

 100V 100W のヒヨコ球を1球入れてあります。水槽内に温度差をつけるため、年中必要です。室内を暖房しているので、冬眠はしません。

・ 水 場 …

 6×25cmの植木鉢の水受け皿に水を張っています。
 口が広いので、飼育ケース全体を加湿する役目もあります。

・ 隠れ場所 …

 完全に隠れてしまっては観察できないので、蛇が落ちつける場所で且つ姿はのぞき見えるように工夫します。

・ ふ た …

 ガラス面でも登ってしまうので、頭が通るすき間がないように、必ずします。
 ガラス蓋など、重さもないと簡単に脱走されてしまいます。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ 冷凍マウスを解凍して、常温にしてから与えています。現在飼育しているのは成体 なので様子を見ながら1週間ぐらい間をあけて、1匹をあたえています。

 

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くすのきのあるバス通りから 鳥のたてる音いろいろ

 午後、家の中にいて、外のいろいろな音が聞こえていました。ひっきりなしに聞こえてくる小さい音が気になりました。窓を開けると、鳥の声と判り、外に出ました。
 どこに何がいるのかと近づくと、松の木にメジロがいました。いい声でさえずっていました。おしゃべりをしているようにも聞こえました。
 八幡6丁目の住宅街では、「コンコンコンコン」という音が聞こえていました。立ち枯れの木の上の方に、コゲラがいました。
 真ん中くらいには丸い穴がありました。早速、自然博に電話したら、「虫を探しているかも・・・。」一箇所を集中的に叩いていたので、巣づくりかと思いました。
 ハコベとヒメオドリコソウが咲き、ヤエムグラとヘビイチゴが地面を覆っています。
 江戸川堤防工事のため里親になったものの、フジバカマは年々か細くなってしまいました。今年は芽を出すか心配です。           (M.M. )

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


ミズキ科  アオキ

アオキの葉の写真

アオキの雄花の拡大写真
 光沢のある大きな葉が目立つ。 雄花の拡大写真
アオキの雌花の拡大写真 アオキの市内分布図
雌花の拡大写真  庭木などにもよく用いられます。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • アトリを見かけました(2/4)。今年は群れではなく単独で一週間ほど前から来ています。トラツグミとミソサザイが出ています(2/28)。大勢のカメラマンで賑わっています。   
  • 春一番と共に、小さな春(ツクシ)が芽を出しました(2/24)。

大野町より

  • 昨年暮れに現われたタゲリ11羽のうち1羽が工事の正月休みに安心したのか偵察に来ていました(1/5)。

    以上 土居幸雄さん(大町在住)

こざと北公園より

  • ヨシの種がフワフワ飛んでいました。オナガガモ、ハシビロガモ、コガモなどがたくさん来ていて、ユリカモメが電線に並んでいます。午前8時30分頃に、カワセミがよくいます(1/9)。

        Kさん

◆里見公園周辺より

  • 地面に降りてエサをさがすカシラダカ4羽を見ました(2/6)。園奥ではヤマガラ1羽が鼻声でさえずっていました。「国府台ふれあいのみち」ではルリビタキ雌タイプを見ました。

小塚山公園より

  • 地面に降りたエゴノキの実を拾う2羽のヤマガラを間近に見ました(2/12)。見上げればキクイタダキ1羽が枝先を早い動きで移動していました。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)

国分川調節池付近より

  • 草地で多分タシギ(ヤマシギ?)3羽が地面をつついて採餌しているのを見ました(1/13)。 
  • ヒバリがさえずりながら空へ上がっていくのを見ました(2/21)。他に、アオサギ、ダイサギ、ツグミなど。

    以上 田中幸子さん(須和田在住)

  ◆曽谷緑地より

  • オナガを7〜8羽見ました(1/15)。

  ◆大柏川より

  • 浅間橋付近でジョウビタキのオスを見ました(1/14)。

    以上 介川武夫さん(曽谷在住)

  ◆中山周辺より

  • 庭にウグイスが来ました(2/21)。昨年は3月15日に見ることができたのですが、今年は早めです。22日、24日にも来ましたが、鳴き声だけで見つけられませんでした。

        矢島敬二さん(中山在住)
 

  ◆行徳周辺より

  • 保育園の樹に、メジロが2羽来ていま した(1/28)。

        Tさん
気象のようす ◎1月に雪が2回降りました。冬らしい寒い日が続きました。

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