市川自然博物館だより 第98号

市立市川自然博物館 2005年6月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 
身近な生き物を飼ってみよう

 


 

 野外観察の良さ、飼育観察の良さ、それぞれにあります。
 小学校2年生の生活科と3年生の理科では、生き物に親しみ、興味を持つきっかけづくりとして、学習の初めの頃に飼育観察を取り上げています。
 野外観察よりも、じっくりと見ることができ、また少々生き物が苦手でも、ケースに入っていれば安心して見ることができるでしょう。
 手間がかかるのはもちろんですが、生き物の飼育を始めてみませんか。

      

 

ケース越しに見て見よう

 ふだんの野外観察でも、時には小さなケースに移して、じっくり見るといろいろなことがわかります。特に水の中の生き物は、野外では上や横からは見られたとしても、下からは見ることができません。
 おたまじゃくしをガラスびんに入れて腹側から見れば、ぐるぐると渦巻きを巻いた腸や、赤い心臓が動いているのを見ることができます。
 動きを制限することもできるので、ルーペや虫めがね、ときには室内で実体顕微鏡を使えば、例えばバッタの足にある小さな穴のような耳など、細かい所まで見ることができます。
 また、生き物が苦手な子どもたちが、いきなり野外で触れたり近づいて観察するのは、荷が重いかもしれません。
 カエルや昆虫は急に飛びついて来そうで嫌い、動物の毛や蝶の翅のりん粉が付くと汚い、毛虫ってみんな毒がありそうで怖いという方でも、とりあえずケースに入っていれば安心できるでしょう。
 身近な場所で飼育されていれば、少しずつ生き物に慣れていけると思います。

  

  

 

いつでも、毎日、観察

 とくに夜行性の生き物は、手元においておかないと見られない行動がたくさんあります。
 カブトムシは、昼間は土にもぐっているか、餌のところでじっとして口だけ動かしている、おとなしい昆虫に見えますが、夜ひとたび灯りを消してしばらくすると、活発に動き出します。
 餌の取り合いで戦ったり、うるさいぐらいに羽ばたいてケースにバンバン当たる音に驚かされることもあります。
 オタマジャクシの足を毎日見ていると、小さな変化の積み重ねなのが良くわかります。
 後足は、最初は小さな芽のような肉の出っ張りが、足の形へと少しずつ育ちます。
 前足は、最初から足の形をしたものが生えてきますが、注意して見ると、皮膚の下で前足が育っていくのが透けて見え、それにともなって頭の形も変わっていきます。
 後何日ぐらいで前足が出るか、予測するのもおもしろいでしょう。
 ヤゴがトンボに羽化する時、縮まっていた胴体や翅は見る間にピンと伸び最後に残った水が水滴となって捨てられる場面など、室内だとじっくり観察できます。

  

 

  

 

 

餌をやろう

 餌をやることは、何をいつどれぐらいやったらよいかなど面倒なこともありますが、その生き物が持っている一番活発な行動を見れるチャンスです。
 野外だと餌を採る様子にはなかなかお目にかかることができませんが、飼育していれば、何度も見ることができます。
 カエルは生餌を捕まえて食べますが、種類によって、餌の捕まえ方が異なります。
 アマガエルやアカガエルなどは、餌に向かってジャンプして、体全体で捕まえに行きます。
 自分の頭の大きさほどもある餌でも、口に入ればのみこんでしまいます。
 バッタの足などがはみ出しても、前足を上手に使って押し込み、最後は目玉をペコンと凹ませて、飲み込みます。
 それに対してヒキガエルは、舌をすばやく伸ばし巻きつけて餌を捕まえるので、体の割には小さめの餌のほうが捕まえるのは得意なようです。
 イシガニは、大きな目立つはさみ脚の他に、口のまわりに小さなはさみ脚があり、餌を食べる時には、両方を器用に使い分けています。
 ザリガニや他のカニの仲間も腹側から見ると、同じように付いています。
 普段はあまり動かしませんが、餌をやると、グルグルと盛んに動かします。博物館では閉館後照明を消すと、それが餌やりの合図であるかのように、飼育している生き物が隠れ場所から出てくる、など、餌にまつわるおもしろい発見がたくさんできます。
 飼育下ではその生き物に必要な餌をやらなかったために、起こる現象もあります。
 カタツムリには、菜っ葉類だけを与えておけばよいように思われがちですが、実は卵の殻を入れて飼う必要があります。
 カタツムリは体と一緒に殻も成長させますが、これにはカルシウム分が必要です。
 何匹かを同じケースで飼っていると、殻の表面が筋状に薄くなることがあります。
 これは足りないカルシウム分を取るために、他のカタツムリが殻の表面を食べるためにできる跡です。
 入れておいた卵の殻も指で簡単に潰せるぐらい、しだいに薄くなって行きます。
 ただし、卵の殻を入れておいても、カタツムリどうしが殻の上を歩いたり、口の部分が薄くなったりしてしまいます。
 餌を充分に与えるのには、一工夫が必要で、それを考えるのもまた飼育をする楽しみです。 

  
 
    

身近な生き物の餌リスト

トンボのヤゴ(生きた餌)……アカムシ(釣具屋さんで購入できます。)など
カブトムシ、クワガタ、カナブンなど(草食)……樹液に似せた砂糖水、昆虫ゼリー、りんご  
トノサマバッタ、ショウリョウバッタ(草食)……イネ科の植物(イヌムギ、エノコログサ)など
コオロギ、キリギリス(雑食)……イネ科の植物、煮干
アゲハチョウの幼虫(草食)……ミカンの仲間の葉(夏みかん、ユズ、カラタチ)
ザリガニ(肉食)……魚や鳥のささ身の切り身
カタツムリ(雑食?)……キャベツ、ニンジン、卵の殻、など
カニ……泥の中の微生物を食べるもの(泥団子を作るものなど)は、飼育困難×
      魚の切り身やアサリの剥き身などを食べる種類は飼育可能
カエル、カナヘビ(生きた餌)……ハエ、小さなバッタやクモ。種類によってはペットショップで購入できるミールワームを食べる。慣れてくると、魚などのかけらを動かしながら近づけると取るようになる。

  

  

 

いろいろな行動を観察

 産卵の様子や子育ての様子は、野外でも飼育下でも、観察は難しいですが、種類によっては可能なものもいます。
 アメリカザリガニの子育てを通して、納得できることがあります。
 雄雌は腹肢(肢の後にある部分)の形で区別します。
 雌の腹肢は幅が広くヒラヒラしていて、そこに卵を抱え、かえった子ザリガニも、しばらくはくっついたり離れたりして過ごします。
 オスのような針状では、やはりたくさんはつかまりづらいのでしょう。
 他にも、長く飼育していると、イモリやカエルが脱皮するとき何か苦しそうなこと、トウキョウダルマガエルはやかんでお湯が沸いた時の音などに反応して鳴きはじめること。
 ナナフシを歩かせると、前足2本は短い触角の代わりに使い、実際には4本足で歩くこと。
 イソギンチャクは付けた場所が気に入らないと、水槽内を移動する(歩く?)こと。
 カキ殻をたくさん取ってきたらいきなり白い液体(放卵放精)を出し始めたこと、などなどいろいろな行動を見ることができます。

 

   

 

   

 

生き物飼育のとりあえずの設定

 できれば先に飼育ケースを作っておくほうが良いのですが、後からでもその生き物にあった飼育 レイアウトを調べて、整えてやりましょう。

        生き物飼育ケースの設定方法

    

   

 

 

最初へ戻る


 

街角自然たんぽう

かんどり
香取・ケヤキの虫こぶ
ケヤキの虫こぶの写真

 香取神社には大きなイチョウやサクラ、ケヤキなどの木々があり、心地よい木陰をつくってくれています。
 5月中旬にケヤキに近づいてみると、葉に実の様なものが沢山ついています。
 これはケヤキハフクロフシという虫コブで、中にはケヤキヒトスジワタムシというアブラムシの仲間がすんでいます。
 この虫がケヤキの葉に寄生すると、葉が虫を取り囲むように生長して虫コブをつくってしまいます。
 6月にはコブが割れて、有翅虫が2次寄生種のササを求めて飛び立っていきます。

 ケヤキハフクロフシ(虫こぶ) 

 

 

 最初へ戻る


博物館でこんないきもの飼ってます

 生き物の暮らしを知るには、野外で観察する方が、もちろん良いのですが、飼育しているからこそ観察できることもたくさんあります。
 このコーナーでは博物館で飼育している生き物の、飼育下ならではのちょっと変わった行動などを、実際の飼い方と併せてご紹介します。

 

 ウナギ科  ウナギ

ウナギの写真

 ウナギは、水中で身をひるがえして泳ぐ姿は優雅ですが、かなり活発な魚です。
 コイのようなスタイルならばジャンプするところを、ウナギは勢いをつけてバシャバシャと水面を跳ねるようにします。
 そして、あの長い体の半分近くを水面から垂直に持ち上げることができます。
 ふたのすき間に運良く頭が通れば、水槽から脱走してしまうので、毎日夕方ガラスぶたがきちんと閉まっているか確認します。
 そうしないと、翌朝ウナギつかみを体験することになってしまいますから。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 隠れ場所

 体の太さよりもひと回りぐらい太い、塩ビのパイプを入れてあります。
 ウナギには気の毒ですが、姿がわかるように、体長よりかなり短めです。
 いつも頭を隠して、尾がはみだしています。
 透明なパイプにしたら楽しいとは思うのですが、すぐ曇ってしまいそうです。

・ ふ た …

 きっちりすき間無くおおいます。おかげで、露がガラス面一面に付いてしまいます。

・ 濾過器 …

 外部置式の大きめの物を使っています。水質の汚れには敏感です。

・ 水換え 

 週に一度、バケツ2杯(約20ℓ)交換します。水の量は120×45×45p水槽に半分ぐらい(約100ℓ)です。

・ 保 温 …

 特に何もしていません。夏に水温が30℃以上でも平気でした。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ 冷凍ワカサギを解凍して、頭、内臓を取り除き、皮をむきます。
  週に一度、大きめのワカサギなら、1匹、小さめなら2匹あたえています

 

 最初へ戻る

 

 


 

くすのきのあるバス通りから ブロッコリーをめぐって

 冬に種まきしたブロッコリーに、モンシロチョウが卵を産みにきました。その卵をさがしていると、蛾の卵もみつけま した。
 それぞれ孵化し、日に日に大きくなっていきましたが、倒れていた春菊をまとめたときに青虫を傷つけてしまったらしく、地面でもがいていました。そこには、アリたちがやってきました。
 また、ある日、ムクドリが庭に降り立ち、ブロッコリーの葉の下にもぐりこんでいました。
 スズメは茎をらせん階段のようにのぼっていました。2〜3pぐらいの2種類の青虫が数匹いたはずですが、見つかりません。でも、小さな青虫があちこちについていました。
 近所のムクドリの雛は巣立ったのか、あのうるさいぐらいの声が今日は聞こえません。
 ブロッコリーは収穫し茹でてたべました。わき芽も期待できそうだし、もう少し、抜かずに鳥の様子を見ていようかと思います。           (M.M. )

 

 

 最初へ戻る


自然博物館の

博物館のめ


マルスダレガイ科  カガミガイ

カガミガイの写真

カガミガイの水管の写真
 白くて円い大きな貝殻を持つ。 砂にもぐり長い水管をのばす。
カガミガイのちょうつがいの歯の拡大写真 カガミガイの市内分布図
大きな歯のある「ちょうつがい」  湾岸一帯にふつうに生息。

 

 

 

 

 最初へ戻る


わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • シュンランを見つけました(3/6)。園路からも見える場所でつぼみが上がっていました。掘られることなくみんなで花が見れるといいですね。
  • スナヤツメを見ました(3/22)。最近数が減っているので無事に集団産卵を済ませてくれることを願うばかりです。 

    以上 金子謙一(自然博物館)

柏井雑木林町より

  • ヒキガエルの卵を見ました(3/26)。少年野球場近くの湧き水がある池にひも状にからみあって沢山ありました。

南大野町より

  • ウワミズザクラが満開でした(4/20)。白いブラシのような花が木を覆い見事でした。

     以上 吉田 毅さん(柏井町在住)

◆北方4丁目周辺より

  • タチイヌノフグリが咲いていました(4/9)。周辺にツクシもあり、ツチイナゴやキタテハも活動していました。
  • ツバメが飛んでいました(4/10)。

     以上 H さん(船橋市在住)

堀之内貝塚周辺より

  • ホタルカズラが咲いていました(4/16)。ウグイスカグラやカントウタンポポ、シロバナタンポポも咲いていました。

        介川武夫さん(曽谷在住)
  • オオルリがすばらしい声でさえずっていました(4/23)。

里見公園より

  • イカルを見ました(3/12)。イチョウの木のテッペンにはカシラダカが3羽とまっていました。

  ◆小塚山公園より

  • センダイムシクイのさえずりを聞きました(4/10)。かなり早い渡来だと思います。

  ◆じゅん菜池公園より

  • ツミの鳴き声を聞きました(4/2)。今年も付近にやってきたようです。

     以上 根本貴久さん(菅野在住)

  ◆国分側調節池付近より

  • キジ♂を見ました(3/7)。   
        田中幸子さん(須和田在住)
 

  ◆坂川周辺より

  • ギンイチモンジセセリを見ました(4/22)。他にはベニモンキノメイガとベニスジヒメシャクの仲間も飛んでいました。

        道下 誠さん(中国分在住)

  ◆八幡5丁目周辺より

  • 真間川沿いのカンヒザクラが満開でした(3/20)。

  ◆江戸川放水路周辺より

  • アカツメクサが咲いていました(4/29)。

     以上 金子謙一 
気象のようす ◎順調に春が進んでいきました。

 最初へ戻る

 

博物館たよりIndexへ戻る