市川自然博物館だより 第99号

市立市川自然博物館 2005年8月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 
身近な場所でいきもの観察

 


 

 夏休みは山や海へ行き、昆虫やカニなどいきものを採ったり、観察したりすることを楽しみにしている人が多くいます。
 しかし、このようなことは、遠くへ行かなくても市内でも十分楽しめます。
 今回は、身近な場所での夏〜秋にかけてのいきものの観察について、昆虫を中心に紹介します。

      

 

身近なところで観察する

 子どもたちの夏休みの楽しみのひとつは、山でカブトムシやクワガタムシ、海でカニや魚を採ったりすることです。また、それらを行うのはキャンプや海水浴にでかけた時です。
 しかし、それらは、キャンプなどにでかけなくても、私たちの身近な場所で、すぐにでも行うことができます。
 例えば、自宅の庭やベランダで花に来る虫を観察したり、原っぱでバッタを採集したり、干潟でカニを探したりすることなどです。
 観察は朝、昼あるいは夕方以降に行ったり、夏だけでなく秋にも同じ場所で観察を続けたりすると、異なったいきものにも出会えます。
 今年の夏は、遠くへ行かずに身近な場所でいきものを観察をしてみましょう。また、観察を通して、身近な自然の姿を学習してみましょう。

  

  

 

花に来る虫の観察

 まず、花に来る虫を見てみましょう。
 自宅の庭やベランダで昆虫がよく来る花があれば、それを観察してみましょう。
 観察するのは、よく晴れた日の午前中がよいでしょう。
 もし、自宅などに昆虫が集まっている花がないときには、公園などにある「アベリア」の花を探してみましょう。
 この花には、夏〜秋まで数多くの昆虫が集まります。 
 集まる昆虫は、夏はアオスジアゲハやクマバチなどが、秋はイチモンジセセリやホシホウジャクなどです。できれば、夏も秋も観察して比べてみましょう。

アベリアの花に来るヤマトシジミ

アベリアで吸蜜するヤマトシジミ

  

 

  

 

 

林の虫の観察

 林の虫というと、カブトムシやクワガタムシがその代表ですが、それ以外にも数多くの昆虫が生息しています。
 市北部の長田谷津や柏井の森は、林の虫を観察するのに最適です。ここには、樹液を出すクヌギやコナラ、里山の雑木林に代表的なエゴノキ、イヌシデなどがあり、林の虫が多く生息するからです。
 樹液に集まる昆虫を探すには、まず樹液が出ている木を見つけることから始めます。樹液は、独特の甘い匂いがするので、その匂いがする場所を探すのがポイントです。
 樹液には、昼はゴマダラチョウなどのチョウやカナブンなどが、夕方〜夜はカブトムシ、コクワガタなどと、昼と夜とで集まる昆虫が異なっているので、できれば昼、夜両方観察するとおもしろいでしょう。
 昼に、幹の穴のなかに隠れているコクワガタが見つかることもあります。
 イヌシデなどの植物の葉に、穴が開いていたり、かじられた跡があったりしたときには、チョウやガの幼虫やハムシ、ゾウムシなど小型の甲虫がいるので、探してみましょう。
 このような植物には、枝にもカメムシやアワフキムシ、ナナフシなどがいたりするので、これらの虫もいっしょに探すことができます。
 地面には、シデムシやアオオサムシ、ゴミムシなどの甲虫類やアリ類が歩いていたり、前述したチョウやガの幼虫の糞が落ちていたりします。
 斜面にある木の根の下には、ウスバカゲロウの幼虫である「アリジゴク」の巣も見つかりますので、探してみましょう。 

  

  

 

原っぱの虫の観察

 原っぱの虫の代表といえば、「バッタ類」です。バッタは、夏だけでなく秋にも観察することができます。
 バッタは、エノコログサやヨシなどイネ科植物を食べるため、これらが茂っているところを探すのがポイントになります。
 市内では、江戸川堤防にイネ科植物の多い草地が広がっており、バッタの観察に最適な場です。
 バッタは、草地にあるイネ科植物の間やその周辺を歩くと、ピョン!と飛び出してくるので、探すのは簡単です。
 草地を歩いてバッタを見つけてみましょう。また、バッタが多い場所では、手づかみでつかまえることもできるので、バッタ採りもやってみましょう。
 観察できるバッタは、オンブバッタ、ショウリョウバッタ、クルマバッタモドキなどですが、水辺に近いヨシ原などではコバネイナゴが、坂川旧河口近くではトノサマバッタも見つけることができます。トノサマバッタは、夏よりも秋に多くの個体が見られます。
 また、草原はバッタの他にも多くの虫たちを探すことができます。草原にある花にはベニシジミ、キチョウなどのチョウが吸蜜に訪れていたり、イネ科植物の茎や葉には、汁を吸っているアブラムシを食べるナナホシホシテントウやナミテントウの成虫が見られます。
 草の陰には、バッタなどを食べるカマキリ類が、葉の裏には、ツユムシなどの鳴く虫もいるので、バッタを探すときに は、これらの虫もいっしょに見つけてみましょう。

 

 

  

鳴く虫の観察

 鳴く虫は、夏は「セミ」が、秋は「キリギリスやコオロギ」がその代表です。
 市内のセミの声は、ニイニイゼミから始まります。その次はヒグラシで、おもに夕方から声が聞かれます。この2つのセミは、前述した長田谷津や柏井の森など林の虫が多い所で声を聞くことができます。
 真夏には、アブラゼミ、ミンミンゼミといったセミが登場します。これらのセミは、市街地や行徳の公園などにもいます。また、まれにクマゼミの声も大野町などで聞かれることもあります。
 それらの声とともにツクツクボウシの声が聞かれ始めると、セミの時期も終わりです。セミの鳴き声をたよりに姿を確かめたり、公園にあるサクラなどの幹でぬけがらを探してみたりしましょう。
 一方、キリギリスやコオロギは、バッタと同じ草地に多くの種類がいますが、草の葉やその間だけでなく地面にある石の下で鳴いているものもいます。
 江戸川堤防では、ツユムシやコバネササキリ、鳴き声が美しいというカンタンなどの声を聞くことができます。また、クツワムシやハヤシノウマオイは、長田谷津などで聞かれます。
 市街地や公園、自宅の庭でもアオマツムシやカネタタキ、エンマコオロギやツヅレサセコオロギなどが声を聞かせてくれます。秋の鳴く虫は、夕方〜夜にかけて、とくによく声が聞かれます。
 じっと耳をすませて、鳴く虫たちが演奏する声のオーケストラを楽しんでみましょう。

 

   

 

カニなどの観察

 身近な場所でできるいきもの観察は、昆虫だけではありません。カニなど海のいきものも観察できます。
 市内には、それができる場所があります。前述した江戸川堤防の下流にある「江戸川放水路」です。
 ここは、「川」という名は付いていますが、実際は海の一部になっています。
 放水路には、満潮時には海水中に沈み、干潮時には姿を現す干潟があります。この干潟では、カニやヤドカリ、貝類などが観察できます。
 干潟にいるいきものは、チゴガニ、ケフサイソガニなどのカニ類、ユビナガホンヤドカリやアナジャコなど、そしてオキシジミ、アラムシロガイなどの貝類です。他にハゼなど魚類もいます。
 それらの大半は、泥に巣穴を掘っていたり、泥のなかにもぐっていたりするので、穴や泥をスコップで掘って、隠れているいきものを探してみましょう。
 いきものの種類によっては、もぐったりしないで、泥の上を歩いていたりすることもありますので、そのようなものを探すのもよいでしょう。
 このように、いきものの観察の場所は、身近にもあります。今年の夏休みは、市内の身近な場所でいきものの観察を始めてみましょう。
 また、観察だけでなく場合によっては、採って標本にすることもやってみるとよいでしょう。標本にしたものを保存すれば、それを見るたびに、身近でいきものの観察を行った、という良い思い出になると思います。        

    

   

 

 

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街角自然たんぽう

きたかた
北方・真間川沿いの道
真間川沿いの道の風景写真

 7月下旬、浅間橋から京成電鉄の踏み切りに向かう真間川沿いの道は、桜並木が青々と茂って木陰をつくってくれています。
 以前はこの時期、サクラの木に近づくと、かならず毛虫がいて何匹か落ちてきましたが、最近はそんなことも無く、安心して桜並木の下を歩くことができます。
 真間川に目を向けると、ツバメが水面近くを飛んで、虫をとっている姿や、ボラの子どもが群れて泳いでいる姿を見ることができました。

 

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

 生き物の暮らしを知るには、野外で観察する方が、もちろん良いのですが、飼育しているからこそ観察できることもたくさんあります。
 このコーナーでは博物館で飼育している生き物の、飼育下ならではのちょっと変わった行動などを、実際の飼い方と併せてご紹介します。

 

 ナナフシ科  ナナフシ

ナナフシの写真

 ナナフシは、木の枝によく似た姿で知られる昆虫です。
ということは、木からあまり離れないで生活しているわけで、飛ばないし走らないし…。
 コナラの枝をびんに挿し、試しに覆いはせずに飼ってみました。
 その方が、動く様子もよく見えます。枝の間で、2本の前足をユラユラと動かし、触角のように使って移れる場所を探ります。
 動きはゆったりですが意外と素早く、長い足をうまく使って枝を渡ります。
 枝の上でのスローな生活ですが、やっぱり時折は脱走します。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 隠れ場所

 餌の小枝がそのまま居場所になります。目立たない姿をしているので、隠れ場所もとくにはつくりません。けっこう動くので、枝がぐらぐらしないようにと、水に落ちないように、びんの口の周りは詰め物をしておきます。

・ 容 器 …

 夜間は逃げられないように、ケースに入れて帰ります。衣装ケース2個を使って、ひとつはフタ代わりに逆さまにして重ね、大きな空間をつくります。その中にビンごと入れます。

・ 糞と卵 …

 乾いた棒状の糞を枝の上からばらばらと落とします。
 掃除する時に注意して見ると、長方形をした卵が混じっています。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ コナラの枝を水を入れたびんに挿しています。葉を食べるので、萎れたら交換します。樹液が落ちてべとべとするので、下には紙を敷きます。

 

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くすのきのあるバス通りから 夏のできごと

 ブロッコリーで育つモンシロチョウのその後です。
 幼虫のわき腹から出たらしく、たくさんの穴が見え、まわりに寄生バチの繭がびっしりありました。
 数日後、幼虫は地面に落ちていました。おしりに針を持つ小さい虫を何匹か庭で見ました。
 盆踊りにでかけました。公園の草むらから3匹セミの幼虫がフェンスに這い上がっていました。
 ムシ好きの小学生の男の子がジッと見ているので、高学年の女の子が防犯ブザーについているライトで照らしてあげていました。
 帰り道でカラスウリの花がきれいに咲いていました。
 洗って干したのを忘れて、朝になり取り込もうとしたら、ヤモリが隠れていました。けっこう大きく、太っていました。きょとんとした様子で動かずにいるのでカメラを取りに行き、シャッターの音でやっと大慌てで逃げて行きました。(M.M. )

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


フクロウ科  フクロウ

フクロウの写真

フクロウの羽根のアップ写真
 丸い顔と大きな眼。 羽根には音を消す工夫がある。
フクロウのいる林の写真 フクロウの市内分布図
林の中に潜んでいる。  北部の林の何ヶ所かに生息。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • あちこちでオオスズメバチの女王蜂が飛んでいました(5/6)。越冬を終え、巣を造る場所を探しているのでしょう。

            小川 晃(自然博物館)
  • ツノトンボが斜面林の草にとまっていました(6/8)。トンボに似ていますが、長い触角を持っています。

        清野元之(自然博物館)

柏井町より

  • リハビリパーク内数本あるユリノキの内、1本に黄緑の花が沢山咲いていました(5/17)。

        吉田 毅さん(柏井町在住)

堀之内貝塚周辺より

  • ウグイスのさえずりを聞きました。ずいぶんと遅い時期のわりに、とても良い声でした(6/30、7/14)。

        池田真由美(歴史博物館)

◆国府台ふれあいの道より

  • タイヌシデの枝にとまって美声を聞かせるキビタキ♂1羽の美しさに感動(5/3)。別の日に、エナガの親子連れが見られました(5/29)

じゅん菜池公園より

  • 一見カルガモ(マガモ!?)1羽に連れられたヒナ10数羽が、必死に水の上を泳いでいました。全身黄色の幼鳥が1羽混じっていて、ひょっとすると、もう片親はアヒルかもしれません(5/15)。

平田緑地より

  • 園内のクロマツからクロマツへとツミが2羽で移動していました。同所では、2001年以来の観察です(5/1)。

     以上 根本貴久さん(菅野在住)

  ◆八幡より

  • 薮知らず前の国道14号線を渡ってきた、ハクビシンと思われる動物を見ました。歩道をうろうろした後、薮知らずの中に入って行きました。

        荒井美保子さん(東菅野在住)

  ◆東大和田より

  • 以前から庭の梅の木にクマバチらしい穴があり木屑がこぼれていましたが、今日穴の中のクマバチの丸いお尻と対面しました(5/18)。

        藤田柳子さん(東大和田在住)

  ◆妙典より

  • マンションの植込みの間で、ピーピーと鳴きながら親の後をついてまわる、ヒヨドリの親子を見ました(6/19)。

        宮橋美弥子(自然博物館)

  ◆三番瀬より

  • イシガレイ、ギンポ、イダテンギンポなどの幼魚や、ハゼ類の幼魚が目立ちました。透明な体のハゼ類の稚魚もたくさんいました(5/10)。

        金子謙一(自然博物館)
気象のようす ◎5月は肌寒い日が続き、順当に梅雨入りした6月に猛暑の日がありました。

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